2012年06月06日

タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』

皆様ご機嫌麗しゅう。FORTRESS WEB SHOPのタナ・セガールでございます。

小生が独断と偏見にまみれつつ選んだおススメ洋画(たまに邦画もあるかも)を、気が向いた時にのんべんだらりとご紹介する『タナ・セガール洋画劇場』

第3回目となります今宵のお題はコチラ!↓
タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
『死霊のえじき(原題 Day of the Dead)』
マスターオブホラーの異名を取る、ピッツバーグ出身の偉大な映画人『ジョージ・A・ロメロ』監督の手による、1985年公開のゾンビホラーであります!
1968年公開の『ナイトオブザリビングデッド』、78年の『ゾンビ』に続く、シリーズ第3作目ですね。
この後さらに『ランドオブザデッド』『ダイアリーオブザデッド』『サバイバルオブザデッド』の3作が続きます。

ちなみに上の画像、ポスターやDVDのジャケットなどでも有名な冒頭のシーンですが、主演女優のロリ・カーディルさん、撮影の際どさくさに紛れて乳を揉まれたとか。(まあ、揉んだのは旦那さんだったらしいけど。)



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲ロメロ監督といえば、この人がいなければ現在のようなゾンビ映画というジャンル自体が恐らく存在しなかっただろうと言われる程の人物。
『人肉を食らう』、『動きが緩慢』、『知性や理性を持たない』、『ゾンビに噛まれるとすぐに死亡し、死後ゾンビとなって甦る』、『脳を破壊されると活動停止』という、ゾンビ5原則(←今考えた)を最初に思いついたお方でもございます。

いまでこそ『何たらオブザデッド』というタイトルのゾンビ映画は、それこそ佃煮にするくらい存在しておりますが、真の意味で観賞に耐える作品は極僅か。
このジャンルの映画というのはまず9割がた地雷と思っておいた方が良く、レンタルで観終わった後『俺の人生の貴重な2時間と300円を返せ!』と、血の涙を流しながら魂の叫びを発する事も少なくありません。

その点、ロメロ監督作品は(完成度的な意味で)安心して観られますね。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
『ナイトオブ~』ではゾンビ発生の過程が、『ゾンビ』ではそれによる社会秩序の崩壊が描かれておりますが、今作では崩壊後の社会における、生き残った人間同士のエゴのぶつかり合いと対立、それによるカタストロフィが陰惨に描写されています。

物語の舞台となっているのは地下に設けられた広大な物資貯蔵倉庫(核シェルターか?)で、取り敢えず餓えや乾きに悩まされるような事は無いものの、ズッシリとのしかかってくるような閉塞感は半端ではありません。
更にその中では、科学者と軍人が緩やかな対立関係にあり、その他民間人がそれを傍観しているというドヨヨ~ンとした状況で、小生こんな所に放り込まれたら、30分くらいで鬱病になれる自信がございます。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲このおねいさんが(一応)主人公であるサラ(ロリ・カーディル)。人類学者であり、自分の専門分野からゾンビ化の原因を解明し、根絶する事を目指しております。

後に映っているのがヘリパイのジョン(テリー・アレクサンダー)。基本科学者と軍人の対立には距離を置き、傍観者に徹しているものの、根は良いヤツという感じ。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲このいかにも偉そうなおにいさんが、軍人グループのリーダーローズ大尉(ジョー・ピラトー)。とことんジコチューで高圧的、全てを自分の支配下に置いていないと気が済まないような典型的なヤなヤツで、中々研究成果を上げられない科学者グループにそりゃもうネチっこく絡みまくります。

明らかに私物であろう、チャラいS&W M629 44マグナムの2丁拳銃が、ヤなヤツっぷりに拍車をかけてますねえ。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲こちらは脳外科医のDr.ローガン(リチャード・リバティ)。いわゆる『空気読めない系』な人で、ギスギスした雰囲気の中、一人だけ溌剌と研究に勤しんでいる困ったちゃんなオッサンであります。
兵士たちに地上でゾンビを捕まえてこさせては、自分の研究室で解剖、実験を繰り返す、にこやかなマッドサイエンティストという感じ。通称フランケンシュタイン博士



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲でもってこちらが本作品のキーパーソン(?)ともいえるバブ(ハワード・シャーマン)。ゾンビです。Dr.ローガンによる条件付けで飼いならされており、人間が傍にいても襲い掛かるような事はありません。
行動はまさにでっかい幼児で、何かと世話をしてくれる博士とは、さながら親子のように情を通じ合わせております。ゾンビだけど。

生前の記憶をある程度持ち合わせているのか、片言ながら言葉を発したり、道具を使いこなしたり、果ては操作が複雑な自動拳銃まで扱って見せます。(元軍人だったらしい。)優等生ですね!



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲この映画、結構銃の登場頻度が高く、鉄砲好きにもアピールするものがございます。
兵士たちがメインアームとして使用しているが、80年代半ばの米軍らしくM16A1の後期型(バードケージフラッシュハイダー仕様)。ただし非発砲シーンでは安全対策の為MGC製の金属モデルガンが使用されており、レシーバー周りの形状とマガジンの種類、ハイダーの形状(実銃ベースのプロップガンは30連マガジン装填)で見分けが付きます。
他にHK91(G3のスポーター仕様)を持ってる兵士も何人かおりますね。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲サイドアームはオートマティックが多く、大別するとガバ系とS&Wの2nd系9mmオートの2系統が登場。
ちょこっと珍しいのが、荒くれ兵士の一人スティール(ゲイリー・クラー)が持つコルト ゴールドカップ・ナショナルマッチでしょうか?
ところがこの銃も、非発砲シーンになると…



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲この通り普通のガバに変身!資料によると、こちらもMGC製の金属モデルガン(輸出仕様の黒染めモデル)だったそうな。
空砲でも至近距離から発砲すると軽く人が死ぬので、まかり間違っても実弾や空砲が装填できず、外観もリアルな日本製モデルガンは、海外映画でも重宝していたそうです。

映画の後半、ゾンビに噛まれたスティールが銃を口にくわえて自殺するシーンがあるのですが、このシーンで使われていたのもモデルガンでありました。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲サラやジョン達が使用するのがUZIサブマシンガン。80年代のアクション映画に登場するSMGといえばやはりUZIが主流で、MP5なんかが本格的に出始めるのは、ダイハードやリーサルウェポンあたりからですね。

空砲とはいえ女性がフルオートでぶっ放すのはきつかったらしく、サラ役のロリ・カーディルが発砲シーンで使っていたのはセミオートオンリーのスポーターバージョンであるUZIカービンのバレルを切り詰めたプロップガンだったようです。(ボルトの形状が独特なので判別可能。良く見るとセミオートで一生懸命撃ってるところに、効果音のみフルオートの音を被せてる。)

ちなみに上の画像のシーンでは、これまたマルシンの金属モデルガンが使われている模様。確証はないけど、ストックのややテカった黒染め仕上げが、パーカライジング仕上げの実銃の仕様と合致しないので、おそらく間違いないかと。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲一番凝ったプロップガンが、ローズ大尉の持つ2丁のM629 44マグナム!6inバレルですね。
マズル回りをよく見ると分かりますが、反動軽減用のガスポートが左右に開けられております。恐らく米国の有名カスタムメーカー『MAG-NA-PORT』(マグナポート)社がカスタマイズしたものでしょう。
グリップはパックマイヤーのスクエアバット・ラバーグリップが装着されています。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲バブの能力を見せるため、ローガン博士が彼に手渡すのがS&WのM59。(元はサラの銃ですが。)
某海外サイトではM39と紹介されておりましたが、黒のプラグリップとフレームのステップから、ダブルカーラムマガジン仕様のM59だと分かります。

銃(弾は抜いてる)を手渡されたバブは、ちょっと思案してからスライドを引き、2ハンドホールドで構えて狙いをつけ、引き金を引くところまでやって見せます。
M59には本来マガジンセフティがある筈なので、空のマガジンを装填しているか、マガジンセフティ自体を殺すかしてあるようです。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲せっかく生き残ったんだから、みんなで力を合わせて状況を切り開いて行けば良いものを、軍人と科学者の意見の対立が原因で、事態はどんどんズンドコに。

ゾンビを飼い馴らすために、死んだ兵士の死体を切り刻んで餌として与えていたDr.ローガンローズ大尉の怒りを買って射殺されるわ(因果応報)、サラ達はそのとばっちりを食ってゾンビの群れがうろつく地下道に放り込まれるわ、同僚の苛烈な苛めで鬱状態だった上にゾンビに噛まれ、感染を防ぐために恋人であるサラに腕を切り落とされたヒスパニック系兵士ミゲルは、自暴自棄になって地上に上がり、自分を餌にゾンビの大群をシェルターになだれ込ませる(当然食われる)わで、ラスト近くは地獄絵図の様相を呈して参ります。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲お父ちゃんのように慕っていた博士を殺されたバブは嘆き悲しみ、放置されていたガバメントを拾い上げると、下手人ローズ大尉に復讐すべく行動を開始!(博士が殺される所は見てないはずなのに、何故犯人が分かったという突っ込みは無しの方向で。)

ゾンビの群れがなだれ込んで絶賛大パニック中の施設をヨタヨタとうろつきまわり、部下を見捨てて自分だけ逃げようとしていたローズを見つけて追い詰めていきます。どうでもいいけど、ホンマ人として最低やな、この大尉さん。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲兵士たちがゾンビに食い散らかされてゆく中、バブは手足を撃たれてゴキブリのように連絡通路を這いずり回るローズを、ジリジリと追い詰めていきます。
やっとこさ通路の端にたどり着いたローズが外部に通じるドアを開けると、そこにはゾンビの団体様がババババ~ン!泣きそうな表情で引き返そうとするローズのみぞおちに、バブの放った銃弾がクリーンヒット!崩れ落ちたローズは生きたままゾンビの皆様のお昼ご飯にされてしまいます。
胴体を上下真っ二つにされながらの、ローズが放つ断末魔の捨て台詞『俺の肉で窒息して死んじまえ~!』最後の最後までふてぶてしい大尉さんでありました。

なお、サラとヘリパイのジョン、無線技士の酔っ払いことマクダーモットの3人は、どさくさに紛れてめでたくヘリで脱出。無人島にたどり着いて、めでたく余生を送りましたとさ。



タナ・セガール洋画劇場『死霊のえじき』
▲この作品の見どころといえば、特殊効果の粋を凝らしたスプラッターシーンの数々と、ゾンビ達の特殊メイク!27年前の映画とは思えない程の、見事な完成度であります!
CGの類が一切使えなかった85年当時に、よくここまでやったもんだわ。

特殊効果を担当したのは、『13日の金曜日』シリーズを始め数々の傑作ホラーを手掛けてきた名人『トム・サヴィーニ』御大!ベトナム戦争に従軍した際に嫌というほど地獄のような光景を目の当たりにしてきた経験(ちなみにサヴィーニは陸軍で記録映像の撮影を担当してたらしい)が活かされているという意見もちらほら。
まあ、ご本人はいたって陽気なハイテンション系ヒゲオヤジなんですけどね。

現在リリースされているDVDは、エゲツない残酷シーン満載の『完全版』と、ケーブルTV放送に合わせたR指定のヌルいバージョンである『最終版』の2種がありますが(最初騙されて最終版の方買っちった)、スプラッター系の映画が苦手でないなら、断然『完全版』の方をおススメ致します!(苦手な人が見ると、しばらくホルモン系が食えなくなること請け合いですが。)



それではまた、『タナ・セガール洋画劇場』にてお会いしましょう!サヨナラ!サヨナラ!サヨナラ!(←だから止めい!)




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Posted by フォートレスWEBショップ  at 22:00 │Comments(3)タナ・セガール洋画劇場

この記事へのコメント
今見ても“素敵”な作品ですねっ!(笑)

ハワード・シャーマンさんはバブ役を貰うために
オーデションの時に
生きたニワトリに食いついて見せたとか‥汗
Posted by 山猫二〜ヤン at 2012年06月06日 22:41
銃の解説とセットで非常にイイ!
ゾンビシリーズ化希望!
Posted by ファラン at 2012年06月06日 23:00
どうも、タナ・セガールでございます。

今回のネタ、お楽しみ頂けたようで幸いでした。
ロメロ御大の『ゾンビ』(Dawn of the Dead)辺りは結構おもろい銃が出てきておりますので、ネタが集まったら取り上げるかもしれません。

あんまし期待しないで待っててね!
Posted by フォートレスWEBショップフォートレスWEBショップ at 2012年06月07日 13:38
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